■車でお金を借りるとは
急にお金が必要になったり、事業の資金繰りでお金を借りたい!と思ったとき、消費者金融や銀行での事業者ローンを頼りますが
駐車場などで「車で融資」や「乗ったままOK」などと書かれた貼り紙が目につくこともあるのではないでしょうか。
「車金融」などと呼ばれたりもしますが、車を担保にお金を借りる方法で、担保がある分安心では?と思いがちですが本当にそうでしょうか。
■車金融の仕組み
車を担保にお金を借りる、というのが車でお金を借りる大まかな仕組みですが、大きく分けると以下の二通りがあります。
1.車を業者に預けて融資を受ける
2.車を使用したまま融資を受ける
仕事上や生活でどうしても日常的に車が必要となる場合は2の選択となりますが、「使用したまま」というのは実は車の名義が業者のものとなってしまいます。
■金利
金融業者がお金を貸す際の金利については、現在法律で以下のように定められています。
借入金10万円未満 15%(年間)
借入金10万円以上100万円未満 18%(年間)
借入金100万円以上 20%(年間)
銀行系ローンはもちろんですが、消費者金融でも出資法の改正以降はグレーゾーンと呼ばれていた金利帯が撤廃され年間20%が上限となっています。
車金融でも、貸金業者としてきちんと登録がある業者であればこの利率は守られており、違法性はないのですが
乗ったままの融資であれば、名義変更によるリース料金といった名目等で返済金額とはまた別の出費が必要となり、結果的に多重債務となる危険性があります。
担保という性質上、業者によっては貸金業ではなく質屋としての営業形態をとっているところもあり
そうなると質屋は貸金業法での定めではなく、質屋営業法という法律に従った設定となりますので、金融業者からの融資よりも実はかなりの高金利となってしまいます。
質屋の金利は年利ではなく月利なので、返済期間が長期にわたると貸金業者の利子よりも5倍近くになることにもなってしまいます。
また質屋の場合は、貸金業にあるような審査がなく、本人確認の書類だけで即融資可能なため
貸金業法で定められた総量規制を受けずにお金を借りることができ、これもやはり多重債務の元となってしまいかねません。
※総量規制:借入可能額の制限で、借入残高が年収の3分の1を超えると借りることができないという決まり。
■自動車ローンや税金はどうなるの?
では担保にしようとしているご自身の車に、まだ購入時のローンが残っていた場合ですが
金融業者へ返済しながら、車のローンも自身で返済しなければなりません。
その他の保険や税金については以下となります。
・自賠責保険
車の名義人に支払義務が生じるため、金融業者名義となっていて乗ったままの場合
金融業者から請求されます
・任意保険
車の使用者が加入するものなので、こちらも乗ったままであれば支払いが必要です
・自動車税
車の名義人に請求されますが、金融業者から書類が転送され支払うという方法が多いようです
保険や税金に加えて、ローンが残っていた際は金融業者へ返済金と併せて支払いが発生するため、かなり負担となってしまいます。
■融資後の車の取扱い
いわゆる車金融は、他の方法では借りることができずにどうしてもお金が必要になった時に助かる!と思ってしまいますが
担保となる車は融資後どうなってしまうのでしょう。
まず、金融業者から借りることができる金額ですが、実際の査定金額よりもかなり低い融資額となります。
ここが「乗ったままでOK」に繋がるのですが、通常の買取りであれば車は業者の手にわたりますが
融資を受けた後も乗り続けるのだから、そのうちにもとの査定金額より下がるわけで
そこを見越して、査定額(=融資額)が減額されてしまいます。
■危険性、違法性について
車を担保にお金を貸すこと自体は違法性はありませんが、このタイプの金融業者は、車検証の名義変更手数料という名目で、万円請求する業者が多くあり
例えば、貸付金10万円となっているのに、手数料をそこから引かれてしまう、ということが殆どです。
通常、名義変更手続きでの手数料は実費で5~600円程度なので、数万円の手数料はかなり悪質です。
また名義が業者のものとなった際、車検証の原本を業者が預かりお金を借りた人にはコピーを渡すということをしており、これは違法です。
※車両には原本をのせておく必要があります。
きちんとした貸金業者であれば貸金業法に則って融資をし金利も設定していますが、中には貸金業として登録されていな高利貸しも紛れていることがあり
法定金利を大幅に超えた利息はもちろん、違法となります。
■業者選びのポイント
ここまで述べてきた通り、法外な手数料を要求したり最終的には車も手放さざるを得なくなる可能性もありますので
車を担保にお金を借りる、という方法自体おすすめではありませんが、それでもなんとか!という時は、最低限以下を確認の上で業者を選ぶことをお勧めします。
・財務局または都道府県に登録している貸金業者であること(登録番号をホームページ上などで公開している)
ホームページが無い、連絡先が携帯電話番号となっている、等の業者には注意が必要です。